関連記事 go科学してますか?(2003年12月6日 朝日新聞夕刊)


【震災で感じた偉大さ〜川〜】

 川を見かけると、必ず立ち止まって観察する。兵庫県西宮市の自宅近くの溝のような川に、アユやカワモツ、ボラが戻ってきたという。「大阪の道頓堀川でもゴイサギが増えている。やっぱり少しうれしいわね」
 川を愛する原点は少年時代にある。
生まれ育った大阪府堺市では、川でメダカやモロコ、小ブナなどを捕まえた。だが、高度成長期を境に、川はコンクリートで固められ、直線状になった。「あのころから川が貧相になり、生物がいなくなった。川との思い出が壊され、さみしい思いをした」
 大学と大学院で農学を学んだ。修士論文のテーマは、奈良で吉野川、和歌山では紀の川と名を変える、農業用水としても利用された川の歴史だ。教授から「エコロジーの観点から農業を考えてみないか」と言われ、飛びついた。89年から6年間、参議院議員を務めた。国会での初質問は、長良川河口堰問題で、川を遡上する魚について尋ねた。「あれやこれやできるわけない。得意の川に絞った」。今も年1〜2回は長良川を訪れる。
 川の偉大さを改めて感じたのは阪神大震災の時。自宅も被災、断水したので川の水をくみ上げ、トイレなどに利用した。「川と人を遮断すると、防災の持の役に立たん。食器をざっと洗うなら川の水で十分なんですなあ」
 最近、川に下りる階段や自然に近い形の魚道の整備など、人と自然の共生を目指した川づくりが少しずつ実りつつあるように感じる。「いつか、子どもたちに、自分が少年だったころの曲がりくねった川を取り戻してやりたいなあ。そのにめにも毎日絶えず川を見て勉強しておかないとね」


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